2013年9月14日AM1時24分更新

糖尿病を考える上で大切なインスリンの働きの基礎知識


糖尿病などで話にあがるインスリン。しかしながらインスリンのことをよく知らない人も多いのではないでしょうか?インスリンは昨今急激に増加している糖尿病に深く関わりますので、今一度基礎知識として覚えておく事をお進めします。

インスリンとは

ランゲルハンス島

インスリンはすい臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンです。分泌の条件は血糖上昇が引き金となりますが、インスリンの働きはいくつかあり、代表的なものは以下のとおりです。

  • 骨格筋においてのグルコース・アミノ酸・カリウムの取り込みを促進させる
  • 骨格筋でのたんぱく質合成の促進
  • 糖新生の抑制
  • グリコーゲンの合成を促進し分解を抑える
  • 脂肪生産の促進
  • 腎尿細管におけるNa再吸収促進作用

インスリンは「血糖をエネルギーとして使わせる為に筋肉に取り込ませたり、余剰分を脂肪に変える」という働きをすると要約できます。血糖を取り込ませることで相対的に血糖値が下がりますから、インスリンが血糖抑制の働きをすることに理解ができるかと思います。インスリンは体内で唯一血糖を抑制する、すなわち血糖値をさげるホルモンです。

インスリンの分泌

インスリンは周期こそありますが常時分泌されています。これを基礎分泌といいます。空腹時の血糖が保たれているのも基礎分泌があるためです。インスリンの一日の分泌量の約半分くらいは基礎分泌です。基礎分泌以外には食事したときに分泌されます。これを追加分泌といいます。

炭水化物を取ると糖が消化吸収されますので血液に糖が流入します(血糖値が上がる)この状況に反応して分泌されるのが追加分泌です。基礎分泌と追加分泌を合わせると一日でおおよそ1.4mg~2.6mgの分泌が行われます。インスリンを生産しているすい臓のランゲルハンス島ではおおよ5日分(7mg~13mg)くらいのインスリンを貯蔵できていると言われています。

糖尿病罹患に関係するインスリン分泌能力

日本人はインスリン分泌能力が弱いと言われますが、これは前述で説明したすい臓のランゲルハンス島の数が比較的少ない、大きさが小さい(組織の大きさは分泌量に関係します)という傾向があるためです。欧米人の半分程度という説もあります。もちろん個体差はありますが、絶対量としてインスリン分泌量が低い人もいます。分泌量が少なければ血糖の抑制効果も小さくなります。

その為、血糖値が高値を保ってしまうことにつながり糖尿病の診断となってしまう場合があります。分泌能力が少ない場合は体重の減少や食べても太らないことが挙げられます。インスリンは余剰の血糖を脂肪に変えさせる働きをする事は上記で説明しましたが、分泌能力が低いということはその働きも弱まるということになります。痩せ型で糖尿病を罹患する人の多くはインスリン分泌能力が低いことが予想されます。

2型糖尿病の典型であるインスリン抵抗性

インスリンは分泌されるが効きが悪いという状況があります。これをインスリン抵抗性といいます。インスリン抵抗性が発現する理由は様々ありますが、インスリン抵抗性が発現する場合、多くは肥満が原因となります。

GULT4

肥満は脂肪細胞の肥大であると言えますが、脂肪のひとつの形態である遊離脂肪酸の血中濃度も上昇します。インスリンが分泌されると筋肉(細胞)は糖の取り込みを始めますが、遊離脂肪酸の濃度が高いと取り込みを阻害してしまうのです。

筋肉細胞にはGLUT4という糖を取り込み運ぶ為の荷台のようなものがあります。このGLUT4は普段は細胞内に隠れていますが、インスリンが分泌されると細胞膜上に出てきます。しかし遊離脂肪酸の血中濃度が高いと、GLUT4が細胞内から細胞膜上に上がってこれなくなってしまいます。結果、糖を取り込むことができなくなってしまうのです。肥満から糖尿病が誘発されるのはこの為です。

生活習慣と関係のあるインスリン

前述したようにインスリンは貯蔵分がある為、通常では枯渇する恐れはありません。しかし食べ過ぎ飲み過ぎが続けば、一日のインスリン分泌量は増えてしまうことになります。

インスリン枯渇

そうなると貯蔵分の先出しをしなくてはならない状態になり、場合においては貯蔵が極めて少ない状態で自転車操業的にインスリンの分泌をしなければならないような、すい臓にとっては過酷な状況を招くことになります。その為分泌能力の疲労が起きたり、枯渇に近いような状況になることも考えられます。

インスリンの働きを理解すると糖尿病の病態がどのように引き起こされているかわかりやすくなります。基礎知識を備えて健康維持に役立てていただけたらと思います。