2013年7月30日PM4時43分更新

知っているようで知らないチーズの製法


チーズの作り方

チーズは乳から作られる

チーズは乳のたんぱく質などが凝固して得られるカードという固形物から作られます。(乳ではないですが豆腐も大豆たんぱく由来のカードいうことになり、soy bean curdと呼ばれる場合もあります。)歴史も古く7000年前くらいから既にチーズが作られていたと言われています。チーズというと牧畜が盛んなヨーロッパで作られているイメージがありますが、チーズの原料であるカードを得る方法は古くから中近東やアジアにもあり、チーズ的な食品が多数あります。

チーズでも家庭でも簡単に作れるものはカッテージチーズです。乳(牛乳じゃなくてもOKなので)にレモン汁や酢を加えて、凝固させ水で酸味を洗い流して作ることができます。熟成させないので作ったそばから食べることのできるチーズです。カッテージチーズはほぼカードそのままの状態といえます。チーズの製法の原点と言えるかもしれません。

チーズの種類

チーズは大きく分けて二種類あり、ナチュラルチーズとプロセスチーズに分かれます。ナチュラルチーズは非殺菌で酵素や菌が生きていて熟成や発酵が進むチーズ、プロセスチーズはナチュラルチーズを原料として殺菌加工、安定化され長期保存や流通に向いたチーズと言えます。まずはナチュラルチーズの製法から説明していきます。

ナチュラルチーズの製法

乳を凝固させる酵素「レンネット」

チーズ生産でなくてはならないのがレンネット。牛や羊、ヤギなどの偶蹄目の、草を食べはじめる前(哺乳期)の成長段階で第四胃袋に存在する酵素で、たんぱく質を凝固させる効果があります。草を食べ始めるとこの酵素はなくなってしまうことから、哺乳期の家畜からしか採取することができません。また採取には屠殺が必要になるので、家畜由来のレンネットは供給が不安定にならざるをえません。

そこで1960年代ころからカビなどから採れる「微生物レンネット」が流通し始めました。タンクなどで大量に生産できるため供給に安定性があり、全世界的に使われていますが、伝統製法を守る場合は家畜由来のレンネットにこだわる場合もあります。

乳酸発酵からレンネットによるたんぱく質凝固

まずは乳をチーズバットと呼ばれる浴槽のような容器にいれ乳酸発酵させます。無殺菌乳の場合は環境微生物の乳酸菌で乳酸発酵しますが、殺菌乳の場合は乳酸菌を人為的に加え発酵をさせます。

乳中にあるたんぱく質(ガゼインミセルという小さいつぶつぶのような形で存在しています)は通常では特性的に凝固することはないのですが、乳酸発酵の後でレンネットを加えるとさまざまな作用により、最終的には乳酸発酵で増えたカルシウムイオンを仲立ちにたんぱく質がくっつき始め沈殿凝固します。

カードとホエーの分離

レンネットを加えると乳は柔らかい豆腐のような感じになります。ここでカードカッターというたまごスライサーの親分みたいな道具でカードを小さく切っていきます。この工程で固形物であるカードと残りの液体であるホエーにはっきりと分離することになります。この段階ではカードには乳糖などの成分が残っているので、ホエーを抜きながら何度かぬるま湯に浸して、浸透圧の作用で成分調整を行います。

カードとホエー

分離したホエー(液体)は通常廃棄されますが、ホエーには高蛋白質で消化も早いことから注目されています。プロテインとしての原料として使われたり、家畜の餌にするなど流通も確保されつつあります。

カードの成形・発酵・熟成

カードの成形の仕方、水分の抜き方、熟成時間や熟成環境や乳原料の違い、加える成分などで、得られる風味や味が変わります。カードを得る為のレンネットなどの凝固材や工程で使う道具などの条件からも違いが出てくると言われています。これら違いがチーズの種類になります。

得られたカードを塩とお湯をくわえて練り、弾力を生み出してこぶし大に成形するとモッツアレラチーズになります。モッツアレラチーズは熟成はしないのでフレッシュチーズという事になります。水牛の乳で作られるものの方が品質が高く高級品とされます。

カードに圧力を掛け水分を抜いて整形し熟成させるとセミハードチーズやハードチーズである、ゴーダチーズ、エダムチーズ、チェダーチーズ、パルメザンチーズなどができます。水分を抜くので比較的長時間の熟成が可能です。数ヶ月から1年程度熟成させることで味に深みがうまれ風味がまします。くせが少なく食べやすいチーズです。

ゴーダチーズ

カードを塩水で殺菌した後に、白カビをつけ発酵熟成させるとカマンベールチーズやブリーチーズになります。同じような工程で青カビを用いるとゴルゴンゾーラチーズなどになります。カビによる熟成発酵は独特の風味がうまれますが、その独特さの為に好き嫌いが分かれるチーズとなります。

カマンベールとゴルゴンゾーラ

表面に塩水、ブランデー、ウイスキー、ワインなどを吹きつけながら発酵熟成を行うとウォッシュチーズという種類になります。この製法で代表的なチーズはエポワス、モンドールです。かなりの芳香が強く、一般的には「臭い」チーズです。しかし、なめらかな食感と奥深いコクがあるチーズで、通には人気です。ワインにはウォッシュチーズしか認めないと言う人もいるくらいです。

ウォッシュチーズ

プロセスチーズの製法

プロセスチーズはナチュラルチーズを原料にして作られます。数種のチーズが混ぜられる場合もあります。日本ではゴーダチーズやチェダーチーズが主原料となる場合が多いようです。

原料のチーズを細かく砕き、殺菌します。加熱や攪拌などで柔らかくして加工していきます。スライスチーズは溶かしたチーズをフィルムの隙間に流し込んでローラーで薄く伸ばし、冷やすことで作られています。またさけるチーズは長く伸ばしたチーズを何回も折りたたむ事で繊維状の構造にして成形することで作られます。

さけるチーズ

プロセスチーズは殺菌され、酵素も変性されている為、それ以上の発酵はしません。その為比較的長期間保存がききます。また味や匂いにクセが少なく食べやすいとされています。風味やコクなどではナチュラルチーズにかなわないかもしれませんが、安価で手軽に食べる事ができるのでチーズ流通のおおくはプロセスチーズとなっています。

科学技術振興機構が運営する「サイエンスチャンネル」にてチーズの製法が映像で紹介されています。とてもわかりやすいので視聴をオススメします(無料です) (273)チーズができるまで http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/2374