2013年8月10日PM5時46分更新

最強の潜水技術【飽和潜水】人はどのくらいの深さまで潜れるのだろうか?


飽和潜水

人はどのくらいの深さまで潜れるのでしょうか?

飽和潜水という技術があり、この方法を用いると最大で700m程度まで潜水が可能になるということです。潜水では減圧症が問題になりますが、飽和潜水はあらかじめ圧力に対しての順応期間(加圧)と減圧期間をしっかりととることで大深度潜水での減圧症のリスクを低くしています。

海上自衛隊は世界でも有数の飽和潜水を有しており、海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」乗組員2名が2008年5月に450m潜水に成功しています。

飽和潜水の手順

飽和潜水の手順

加圧を行う

飽和潜水を行う場合は危機管理上の問題などから3人以上のダイバーチームとなることが多いようです。飽和潜水機能を有した船の中にはDDC(船上加減圧室)と呼ばれる装置のなかに入ります。一旦ここでテストの為におおよそ2気圧まで加圧しダイバーの状態確認を行います。その後チェックがOKであれば、呼吸ガスをヘリウム・酸素混合ガスに変えて作業深度付近の圧力まで加圧していきます。

あまりにも早い速度で加圧するとダイバーは高圧神経症候群を発症する可能性が高まりますので、作業深度によりますが、通常は数十時間から数日かけて加圧されるのが一般的のようです。(海上自衛隊が450m潜水に成功した時は4日間かけて加圧したそうです)時間が掛かるため、DDC内は最低限の居住性がありトイレやシャワーなどが備え付けられています。

加圧を保ったまま海中を降りる

ここまでは船上での準備となります。加圧後、ダイバーはDDCにドッキングされているSDC(水中エレベーター)に移動し、SDCがDDCから切り離され作業深度まで下ろされることになります。もちろんSDC内も加圧維持されている状態です。

SDCは海中投入されるときに実際の作業深度の圧力よりわずかに加圧されます。この時ダイバーの一部はDDCに残ります。潜水作業中になにかあった場合でも加圧期間が必要な為に、すぐに向かう事はできないため、あらかじめ予備人員の加圧も行っておき不測の自体に備えるためです。

実際に大深度に潜水する

SDCが作業深度に到達するとすこし減圧されハッチが開き、潜水作業が開始されます。この時も全員が作業に出るのではなくSDCに一名以上が残り、作業ダイバーの補助を行うことで危機管理に努めます。大深度では水温がかなり低くことや、呼吸ガスに使用するヘリウムの熱伝導性の高さからダイバーの体温が容易に奪われてしまいます。

その為、ダイバーの潜水服には温水が循環する仕組みとなっており生命維持に重要な機能となっています。SDCに残ったダイバーはこの温水管理をするという重要な任務があります。実際の作業限界時間は深度によってことなりますが、海上自衛隊では450m潜水の時では1時間の作業を行ったとのことです。

減圧処理を行う

作業が終わるとダイバーはSDCに戻ります。SDCは加圧状態を維持したまま引き上げられ、再度DDCとドッキングします。ダイバーはDDCにもどり、ここで減圧処置を受けます。加圧よりも慎重に行う必要があるため、相当な減圧期間が必要になります。450m潜水の時には20日間の減圧期間となったとのことです。

人の潜水の最高深度記録は

フランス海軍と民間会社が共同でおこなったハイドラ計画という水素・酸素混合ガスの実証実験がありました。この研究上で1988年、6名のダイバーが実際の海で534メートルの潜水に成功しています。また1992年には施設内での模擬加圧実験において701mに相当する加圧に成功しています。これらの記録が実際の海でも実験上の加圧としても現状の人の潜水の最高深度記録となっています。

フリーダイビングの記録では昇降機を使ったレギュレーションで200m超という記録もありますが、もちろん瞬間到達記録の為、到達点で何かできるわけではありません。通常のスキューバダイビングでは通常の人では5m~10m、訓練を受けて30mくらいの潜水が普通と言われます。高度な技術を有している場合100m以上の深度でも対応するダイバーは存在しますが、深くなればなるほど減圧症のリスクは高くなります。500m超の活動潜水を可能にする飽和潜水技術がいかに優れているかが分かりますね。