2013年8月10日PM2時49分更新

【宇宙速度】人工衛星やロケットが地球を周回できる理屈


宇宙速度

宇宙速度は宇宙で慣性飛行を行うために必要な最小初速度のことです。基本的には地球上でのことで、第一、第二、第三までの速度分類があります。

宇宙速度の簡単な理屈

地球地表スレスレに弾丸を発射するといずれどこかで落ちます。打ち出す力を強くするともっと遠くに落ちます。さらに打ち出す力を強くすると…を繰り返すと、いずれ弾丸ははるか遠くに落ちつづけようとします。つまり地球の丸みに沿って水平線上に落ちつづけるのですが、結果的に落ちなくなって、地球を周回することになります。この時の速度を第一宇宙速度といい、秒速7.9kmとされています。

宇宙速度の図解

さらに打ち出す力を強くすると今度は地球の丸みから飛び出します。つまり重力を振り切ることになります。この時の速度を第二宇宙速度といい、秒速11.9kmとされています。地球から出てしまう速度なので「脱出速度」と言われています。そしてさらに打ち出す力を強くすると今度は地球はおろか太陽系の重力を振り切ることになります。この時の速度を第三宇宙速度といい、秒速16.7kmとされています。

実際にそのような初速で打ち出せる弾丸はありません。拳銃で約秒速0.3kmでライフルなどでも秒速1.0kmをすこし上回る程度で宇宙速度にははるかに届きませんのであくまでも理屈上の話です。

ロケットは真上に打ち上げているが…

普通ロケットは真上に打ち上げます。なぜかというと、地表近くでは宇宙速度が出せないからです。空気の摩擦でロケットが溶けることや、そんな速度を最初から出したらロケットが壊れる、むしろ乗組員がGで死ぬ、飛ばした瞬間に周辺環境へ甚大な影響がでる、そもそもそんな速度を地表近くで出せるロケットは開発できないなどの理由があります。

空気の薄いところで摩擦を和らげ、できるだけ地球の重力から離れたところであれば、宇宙速度に達するスピードは小さくて済みます。地球を周回するにはその高度での宇宙速度に達していれば良いのです。ですから多段式のロケットはまず真上に向かって打ち上げる推進力を得る為の段(バカでかい燃料ロケットなど)、十分に高度を稼いだらこんどはその時点での宇宙速度に達する為に推進力を得る為の段が存在します。

この時、地球を周回するか、月や火星に向かうか、太陽圏を脱出するかでスピードが変わってきます。人工衛星などは周回軌道に乗るのが目的になります。宇宙空間では空気摩擦がないため、一度、第一宇宙速度到達すると速度をほぼ維持することができます。追加で推進力を得なくても地球の上を回っていられるのはそういった理由がある為です。(軌道からずれる場合がありスラスターなどの推進機関で制御されています)

スプートニク一号

ちなみに高度を下げれば大気摩擦などの影響や維持しなければならない速度の関係ですぐに宇宙速度以下にスピードが落ち地球に落下します。実際に廃棄される人工衛星などは大気圏に突入させ摩擦熱で燃やしてしまう場合もあります。地球周回軌道から戻ってくる宇宙船も基本的には同じで大気圏突入で速度を下げ地球に降りてきます。

現在でも無人であれ有人であれ宇宙に行く際には「真上に打ち上げて、宇宙速度を出せる場所まで行って加速する」のが基本です。

飛行機でも宇宙に行けるか

十分に高度を稼ぐことができれば、宇宙速度を出せるので飛行機のスピードでも宇宙に行くことは可能です。しかし飛行機の構造上、高度が高すぎると気圧が低くなり空気を取り込めずにエンジンが止まります。宇宙に行けるように飛行機を改良することは可能ですが、結局スペースシャトルのような構造になり、宇宙速度をだせる高度に行くために、巨大な燃料タンクと酸素タンクを積まなくてはならなくなります。

1960年代後半にアメリカで開発されたX-15という飛行機が飛行機としてはもっとも高高度まで飛びました。X-15はジェットエンジンではなく液体アンモニアと液体酸素を燃料とするいわばロケットプレーンです。その時の記録107,960mは今なお破られていません。この機体はのちにスペースシャトル開発につながったとされています。