2013年8月11日AM11時56分更新

【マイクロ波加熱】電子レンジが食品を温められる仕組み


マイクロ波加熱

一般家庭への普及はテレビ並の9割を越えている電子レンジ。生活にはなくてはならない家電となっています。しかし未だになんで電子レンジで食品を温める事が出来るのか、その仕組みにいまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか?電子レンジは基本的に「マイクロ波加熱」という電波を使った加熱方法を用いています。できるだけ簡単にマイクロ波加熱について説明してみたいと思います。

「マイクロ波加熱」の基本原理の簡単な説明

水分子のくっつき方が関係している

マイクロ波加熱を理解する為には水分子の構造が重要になります。

水の分子(H2O)は酸素原子(O)一つと水素原子(H)二つがくっついてできています。くっつき方には法則があり、通常は酸素分子の右斜め上と左斜め上に水素が乗っているようなくっつき方をしています。水分子自体は全体として電荷は持っていません。(つまりプラスやマイナスの性質に傾いていない)

水分子のくっつき方

しかし水素原子はプラスの性質を酸素原子はマイナスの性質を持ち合ってくっついています。先ほど説明したように、水分子は水素が上側に偏ってくっついているため、上側がわずかにプラスの性質、下側がわずかにマイナスの性質を持ちます。(このことを永久双極子と言います)

水分子はこういった性質を持っている為、電界(電気や電波の影響を受ける場所という意味)の中に入ると、電気や電波のプラスやマイナスの性質の影響を受けるので水分子のプラス側は電界のマイナス側に、マイナス側はプラス側に引き寄せられて、向きを同じくします。

向きを切り替えることで発熱する

電波照射によって発生する電界は交流電界となる為、プラスとマイナスの方向が切り替わり続けます。この切り替わりのスピードは電波の周波数で決まります。マイクロ波の周波数は2.45GHzですので1秒間に24億5000万回プラスとマイナスが切り替わる電界が発生することになります。

水分子と電界の関係

水分子はこのプラスマイナスの切り替わりにいちいち向きを変えようとしますが、すぐに反応出来ないため向きを変えるのが切り替わりに対してわずかに遅れます。この遅れの時に電波のエネルギーを吸収して熱を発生することになります。よく電子レンジの加熱の仕組みの説明でマイクロ波で水分子を振動させて…という説明がありますが、1秒間に24億5000万回を向きを変えますから、ほとんど振動しているようなものですので、振動で熱が発生しているという理解でも構いません。

周波数は早くても遅くてもダメ

ちなみにマイクロ波より周波数が大きい電波になると、水分子はプラスマイナスの切り替わりにほとんど追従できなくなり、発熱しません。(結果的に動かなくなるから抵抗が生まれないので発熱しないという理解で構いません)またマイクロ波よりも周波数が低い電波の場合は水分子はプラスマイナスの切り替わりに瞬時に追従してしまう為に抵抗は生まれないのでこれも発熱しません。

マイクロ波の周波数が水分子を加熱するのにちょうど良いということなのです。電子レンジが水分子を狙って加熱できるのはマイクロ波の周波数のおかげなのです。

雨の日にBSテレビ放送が写りにくくなる時がありますが、これは原理的に電子レンジと同じ仕組みが理由です。BSテレビ放送で使われている電波の周波数はマイクロ波(12GHzくらい)なので、上記に説明した仕組みと同じく雨(水分子)に吸収され発熱させる為、エネルギーが奪われて届きにくくなります。もっとも放送用電波は微弱なので、電子レンジのような高温の発熱には至りません。