2013年9月10日PM7時03分更新

【ダイエットの疑問】基礎代謝と筋肉量の関係【基礎代謝が落ちると痩せない?】


ダンベル

基礎代謝が下がると痩せにくく太りやすいと言われます。よくダイエットの情報などでは筋肉が落ちると基礎代謝が下がるという説明があり、筋肉を落とさないようにしましょうというすすめがありますが、実際、筋肉量がエネルギー消費にどのように関係しているのでしょうか?

筋肉が減ると基礎代謝が下がる?

基礎代謝の約20%は筋肉による消費ですから、筋肉量がある程度、基礎代謝に影響があるのは間違いありません。しかしながらダイエットとして意味がある影響になるかは計算してみる必要がありそうです。

男性65kg体脂肪率22%の人で大体25kgくらいの筋肉量が平均かと思われます。もし、ここから5kg筋肉が減った場合、筋肉量は元の80%になりますので、単純計算ではありますが筋肉活動での基礎代謝量も80%に低下することになります。この人の基礎代謝量を一日約1500kcalとした場合、元の筋肉量では300kcal(全体の20%)くらいが筋肉活動での基礎代謝量となりえます。この消費量が80%になるということですから、5kg筋肉が減った場合は60kcal分が今までよりも消費されないと言うことになります。

このエネルギー量は積み重ねていけば違いが出てくるものではありますが、5kgも筋肉が減るというのは普通の生活をしている限りほとんど無い異常事態です。ダイエットをしていて短期間に5kgも筋量が減った場合は食事制限に著しく失敗していると言えます。日常的な変化であれば1kgくらいの増減はありえるとおもいますが、1kgの筋肉が減ったことで換算した場合、一日あたり12cal分くらいしか基礎代謝に対しては影響がないということになります。

逆を返せば筋肉を5kgつけてもせいぜい基礎代謝量としては1日50~70kcalくらい上がればいい方なのです。5kg筋肉を付けるのは並大抵ではありませんから、筋肉の増減による基礎代謝の変化はあまり大きくはないことが分かっていただけるかと思います。

ボディービルダーの平熱は40℃もない

筋肉が占める基礎代謝はほとんどが熱生産だと説明しました。もし筋肉が付くことによって基礎代謝量が増えるなら、体温がかなり上がるはずなのですが、筋肉量があるボディビルダーの体温が平熱で38℃とか40℃になるという話は聞きません。それでもおそらく37℃くらいまでは上昇すると思いますが、常人とは比べ物にならないほど筋肉をつけても、たったそれくらいの温度上昇にしかならないのです。

食事制限の失敗やあやまりの方が基礎代謝を著しく下げる結果に繋がる

食事

食事制限でカロリーが慢性的に足りなくなると、体はより省エネ傾向にするため、容易に体温を下げる調整を行います。筆者は25kgの減量に成功していますが、一時期カロリー不足(過剰な食事制限の為)で平熱が36.5℃から35.5℃くらいまで下がりました。一番下がった時で34℃台になったこともあります。この時、脈拍数と呼吸数も普段の2割減程度になっており、バイタルサインの調整が行われていることも良く分かりました。筋肉量に変化はなかった時期ですので、筋肉の増減の有無に関わらず、体温が下がり得るということなのです。

本来体にとって本来エネルギー消費が増えることは避けたい事なのです。進化の過程上、人間は頻繁に飢餓に晒されてきたことが分かっています。飢餓に対抗するためエネルギーをなるべく消費しないようにする為の機能が体には備わっているのです。これは生命維持に重要な事柄なので、この機能はなによりも強く働きます。つまりエネルギー不足には体は顕著に反応してしまうということなのです。ダイエットはこの体の機能をなんとか回避して行う必要が出てきます。過度の食事制限は避ける必要がある理由の一つです。

では筋肉をつけても痩せないのか?

筋トレ

確かに基礎代謝の増量という意味では筋肉の増量の効果はあまりないかもしれません。しかし痩せる為に筋肉をつけるのはやはり正解です。と言うのも人間が一日中寝て過ごすのは現実的に不可能だからです。通勤したり、買い物にいったり、掃除をしたり、料理を作ったり必ずなにかしらの活動は行います。体を動かすときに消費されるエネルギーは基礎代謝とはことなり、活動代謝となります。

活動時、筋肉は糖や脂肪をエネルギーとして動きます。筋肉が多いということは、活動するときに多くの脂肪を燃焼させられる工場が多い状態とも言えます。基礎代謝の80%以上は内臓などが消費していますが、活動代謝の80%~90%は筋肉が占めることになります。活動とは単純に言えば筋肉を動かすことに他ならない為です。基礎代謝量が1500kcalの事務系サラリーマンの場合、おそらく2000kcalくらいが一日の消費カロリーになると思われます。つまり500kcalが活動代謝で消費されているのです。(食事誘発性熱産生といって消化に関わるエネルギー消費も少なからずありますが、ここでは説明を容易にするために割愛します)

筋肉をつけると活動代謝が増える

活動の種類によっては使われ易い筋肉、使われにくい筋肉がありますが、筋肉は脂肪を燃焼させる工場ですから、多ければ多いほど脂肪を燃やせるわけです。もし筋肉量を1kg増やした場合、男性65kg体脂肪率22%の人の平均筋量25kgの約4%増に相当します。つまり同じ活動代謝をした場合、単純に言えば4%程度のエネルギー消費が上乗せされます。500kcalが活動代謝でいえば、20kcal増えることになりますね。基礎代謝では1kgの筋肉が増えた事換で算した場合、12cal分の変化でしたからあまりおおきな違いに感じないかもしれません。しかし、活動代謝自体を増やした場合はどうでしょうか?

活動代謝を増やすと筋肉増量の意味が顕著になる

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活動代謝を40%増やした場合、500kcalの活動代謝が700kcalになります。200kcal分の活動は男性65kg体脂肪率22%、筋量25kgの人で軽いジョギング40~60分に相当しますので、現実的に可能なプラス運動量かと思います。元の筋量から1kg筋肉を増やした場合には700kcalに対して約4%増になる訳ですから、28kcalの消費増となる訳です。基礎代謝分の変化分12kcalと合わせると約40kcalになります。現実的には1日300kcal~500kcalくらいは運動などで活動代謝として増やすことができますから、その場合、筋肉1kg分増えることによって、それまでの筋肉量よりも100kcal程度も消費ができる事になってきます。

活動代謝を中心に

100kcalの消費増となると無視できない量のエネルギーです。筋肉をつけて活動代謝を増やすことがもっと痩せる状態を作り出すということになります。筋肉が増えれば増えるほど、活動代謝のエネルギー消費の効率が上がる訳です。同じ運動でも筋量が多いほど消費エネルギーが増えるということですね。ダイエットで基礎代謝の話を持ち出すことに意味が無い訳ではありません。基礎代謝を落とさないことは大切だからです。しかし基礎代謝は遺伝特質でも個々でずいぶん変わってきます。基礎代謝をダイエットの中心に据えるよりも、適切な食事制限(カロリーコントロール)と活動代謝(運動)を増やすこと、またできればエネルギー消費効率を上げる為の筋肉量の能動的な増強を行う方がはるかに効率的だということが分かるとおもいます。