2013年9月10日PM7時03分更新

【ダイエットで筋肉が減る?】決定的に筋肉を減らすのは【絶食】


筋肉が減る理由

ダイエット情報ではよく「まちがったダイエットでは筋肉が分解され減っていく」と説明されているのを見かけます。筋肉が分解され減るのは一大事のように感じますが、実際、筋肉が分解されるのはどういった条件で起こるのでしょうか?

筋肉が分解される

筋肉が溶けるとか分解されるといった事は「筋肉の異化」と言います。「異化」とはたんぱく質や脂質や多糖などの大きな分子がアミノ酸や脂肪酸や単糖に分解されエネルギーとして利用する代謝の事を指します、解体する代謝という意味です。

ダイエットで筋肉が分解されるというのは、「何らかの理由で筋肉のたんぱく質を転用しなければならない事態に陥った場合」ということになります。

筋肉が分解されてしまう理由の第一位【絶食】

活動に必要なエネルギーは体内にあるもので賄う

筋肉が分解されてしまう要素は様々ですが、はっきりと原因としてあげられるのは絶食です。食事を摂らない場合、活動に必要なエネルギーは体内にあるもので賄うしかありません。主にはグリコーゲン(肝臓や筋肉に貯蔵されている糖)、脂肪(皮下脂肪や内臓脂肪)、アミノ酸(主に筋肉)から必要なエネルギーを作り出します。体に十分に糖(グリコーゲンや食事由来の糖)がある場合は、糖を中心としたエネルギー回路が優勢を占めています。

グリコーゲンの枯渇

絶食で食事由来の糖が枯渇しはじめると血糖値が下がります。血糖値が下がることで分泌されるグルカゴン等のホルモンがスイッチとなりブドウ糖の貯蔵形態であるグリコーゲン(主に肝臓での貯蔵分)が分解され利用され始めます。しかしグリコーゲンは肝臓や筋肉の貯蔵総量を合わせても通常1600kcalくらいの貯蔵分しか無いため、絶食から早くて1日、遅くてもおそらく3日以内くらいには枯渇する可能性(運動量などの条件でかわります)があります。

脂肪を中心としたエネルギー回路へのスイッチ

グリコーゲンが枯渇していく段階で、体はホルモンバランスなどからエネルギー不足を察知し始め、エネルギー供給を糖中心から脂肪中心にすべく肝臓などで脂肪分解がすすみ脂肪酸の血中放出が多くなります。この段階で脂肪を中心としたエネルギー回路が優勢になり始め、筋肉は脂肪酸を代謝してエネルギーにできる能力があるので、優先的に脂肪酸を使うようになっていきます。

ケトン体の生産

脂肪酸の血中放出が多くなる段階で、主に肝臓でケトン体(脂肪酸の酸化から作られエネルギーの元になるアセチルCoAを運びやすくしたもの)と呼ばれるエネルギーの元が作り出されます。糖が(グリコーゲンや食事由来の糖)が足りない状態ではこのケトン体が多く使われ、糖の使用を節約します。

脳や筋肉もブドウ糖(グリコーゲンや食事由来の糖から分解された)よりもケトン体を優先的に使うようスイッチします。ケトン体が使われ始めると糖の利用はかなり抑えられますが、体には一部ブドウ糖しかエネルギーにできない器官があります。その為必要なエネルギーの多くは脂肪由来のケトン体で賄えるとしても、糖がまったくいらない状態にはならないのです。

たんぱく質を材料に糖を作り出す糖新生

必要な糖を作り出す為に体は糖新生という代謝を行います。糖新生は主にはたんぱく質(アミノ酸)を材料として糖を生み出す代謝です。もしこの場合、たんぱく質だけでも食べる事ができれば、それが糖新生の材料にできる可能性がありますが、しかし絶食状態ですから食事由来のたんぱく質は入ってこないので、体の中のたんぱく質を使わなくてはなりません。

体にはフリーに使えるたんぱく質をたくさん貯蔵できているわけではありません。たんぱく質は内臓や筋肉の構造要素ですが、内臓を分解する訳にはいきませんので、優先順位として主に「使っていない筋肉」から糖新生の材料のたんぱく質を切り出すことになります。

(糖新生には脂肪から分解されてできるグリセロール(グリセリン)や一部の特殊な脂肪酸も材料として使えますが、量や代謝の問題から生み出せる糖は少ない為、脂肪から糖の必要量の賄うことはできず、大部分はたんぱく質を使わざるを得ない事情があります)

完全な絶食でなくとも

24時間以上の絶食で糖枯渇が原因で筋肉からのたんぱく質供出に至る可能性が高くなります。食事が著しく偏っていたり、量が少なかったりする場合も準絶食状態となる場合があります。特にたんぱく質の量は筋肉減少に密接です。たんぱく質の著しく少ない食事を続けると確実に筋肉減少を招きます。これはそもそもの筋肉の材料としての役目と、糖枯渇時に糖新生の材料になる役目を消すことになる為です。結果的に筋肉の異化が進み筋肉が減ります。

筋肉が減ることのダイエットの本当の弊害

筋肉が減ることで基礎代謝が落ちるから痩せなくなると説明されることが多いですが、実際には筋肉が減った事での基礎代謝低下はそれほどありません。少なくとも普通は痩せる痩せないを決定づけるほどのエネルギー消費の変化にはなりません。(詳しくはこちら問題になるのは脂肪を燃焼させる能力が落ちることです。筋肉量が低下すると動いても脂肪を燃やす工場が少ない状態ですから、脂肪がなかなか消費できなくなります。筋肉が少ないということは運動強度も上げることができないのでさらに脂肪を消費する条件が悪くなります。運動(ここで言う運動は体の活動すべての意味です)の効率が悪くなるので、いわゆる太りやすい体(体脂肪率の高い体)になる訳です。

成果の出ないダイエットほど無駄なものはありません。

※定評のある絶食や断食ダイエットもありますが、それらはきちんとコントロールした絶食であり無計画な絶食や極端なカロリー制限ではありません。筆者は絶食や断食を用いなくても普通に痩せられると思いますが、コントロールされた絶食や断食プログラムはどちらかというと精神的な追い込みの側面があるのでは無いかと思うので有効な場合があるようにも思います。