2013年9月14日AM1時17分更新

糖がないと脂肪が燃えないって本当?


糖が無いと脂肪が燃えないって本当?

ダイエットなどで情報収集をしていると「糖がなければ脂肪は燃えることができない」という話を聞くことがあるかもしれません。どうしてそのような事が言われるのか、まとめてみました。

脂肪が燃焼する工程について

脂肪が燃焼するという過程には大きく分けて4つの工程があります。

      1.脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪から脂肪酸を取り出す工程(リパーゼによる加水分解)
      2.脂肪酸からアセチルCOAを取り出す工程(β酸化)
      3.アセチルCOAからエネルギーの元を取り出す工程(クエン酸回路)
      4.エネルギーの元から体内エネルギーのATPを作り出す工程(電子伝達系)

3以降はもう脂肪とは呼べないですが、脂肪が最終的に実際のエネルギーになるまでの道のりは長いのです。おそらく「脂肪を燃焼する」と単に言うと2を指すことになるかと思います。これは酸化反応のことを燃焼と呼ぶ場合があるためです。

1と2の工程においては糖の助けを必要とはしません。(血糖値の状況で工程が抑制されたり活性されたりということはあります)もちろん酵素などの助けは必要ですが、少なくとも糖がないと出来ない工程ではありません。問題になるのは3の工程のなのです。

アセチルCOAを作り出すのが目的

実は糖でも脂肪でもエネルギーを作る為にアセチルCOAという物質を作り出すのが目的となります。アセチルCOAは体内で使われるエネルギーであるATP生み出す為に重要な物質です。もちろん糖、脂肪でそれぞれ代謝の方法は違いますが、糖でも脂肪からでもアセチルCOAを作り出すことができるのです。(ここでは説明を省きますがアミノ酸の一部からもアセチルCOAを作り出せます)

糖からアセチルCOAを作り出す際は「解糖系」と呼ばれる代謝を経ることになります。糖がこの代謝を経るとピルビン酸という物質が作られます。ピルビン酸を元にアセチルCOAが作られるのです。脂肪からアセチルCOAを作り出す際は「β酸化」という代謝を経ます。β酸化は4つの反応を繰り返す代謝で最終的にアセチルCOAを作り出します。

アセチルCOAはクエン酸回路へ

アセチルCOAは主にクエン酸回路に取り込まれます。クエン酸回路とは、エネルギーを生み出す為に無くてはならない回路です。ミトコンドリアにこの回路が存在しています。アセチルCOAはクエン酸回路でさまざまな物質や酵素との反応を10工程ほど経て、様々に形を変えながら、エネルギーの元であるATPを作り出すために必要なNADH等を各工程で生み出していきます。

オキサロ酢酸が無いとクエン酸回路は始動できない

クエン酸回路の最初の工程ではオキサロ酢酸とアセチルCoAと水(H2O)が反応してクエン酸が作り出されます。つまりオキサロ酢酸が無いとクエン酸回路が回らないのです。ここで登場するオキサロ酢酸という物質はピルビン酸という物質から作られるのですが、糖の解糖系代謝で説明したとおり、ピルビン酸は糖から作り出されます。脂肪から作られたアセチルCOAはクエン酸回路でエネルギーの元に変えられるには糖から作られるオキサロ酢酸が必要なのです。(※実際にはアミノ酸からもオキサロ酢酸を作り出すことができますが、ここでは趣旨と異なるので割愛します)

脂肪は糖が無いと燃えない

こういった経緯があるために「脂肪は糖が無いと燃えない」と言われるのです。糖は糖自身がピルビン酸にもオキサロ酢酸にもアセチルCOAにもなりますから、脂肪やアミノ酸が無くても燃えることはできます(実際にエネルギーの配分として糖だけが消費されることはほとんどありませんが)。

しかし脂肪は自分がピルビン酸になったりオキサロ酢酸になったりはできません。その為糖が無ければ脂肪由来のアセチルCOAは消費できなくなってしまうのです。消費できないアセチルCOAは糖由来であれ脂肪由来であれ再度脂肪に戻されます。

脂肪を燃やす糖

例えば脂肪はあるのに、ハンガーノックで動けなくなるのは糖が枯渇してクエン酸回路が回らなくなるからです。消費できる脂肪はまだあるのにも関わらずエネルギーに転換できなくなるのです。

しかし通常は糖の補給を別途考えなくても大丈夫です。肝臓や筋肉にグリコーゲンと呼ばれる糖の貯蔵が1000kcal~1500kcal分はありますし、アミノ糖や脂肪の一部だったグリセロールから糖を作り出すこと(糖新生)が可能です。もちろん普段の食事からも供給されます。

極端な摂食制限や高負荷な運動をしていない限り糖が枯渇する事態は滅多にありません。糖は高負荷な運動で使われる率が高まります。脂肪を燃やす目的なら糖を枯渇させないで、脂肪を燃やす為の補助燃料として使える、比較的低負荷な運動を長時間行った方が効率が高いということになります。