2013年12月16日PM5時57分更新

エゾシカの生態と問題点


エゾシカの群れ

エゾシカはニホンジカの仲間

エゾシカは生物分類学的にニホンジカの亜種とされています。ニホンジカにはエゾシカを含めホンシュウジカ、キュウシュウジカ、ヤクシカ、ツシマジカなど亜種が7種存在しています。ニホンジカ亜種のなかでは最大級の大きさでホンシュウジカと比べてもひと回り以上の体格があります。

体重はオスで100kg程度、メスで80kg程度が普通ですが、200kg近くなる個体もいるとされています。生息地域は太平洋側、オホーツク海側の道東が主です。特に釧路や根室地方に多く生息しています。

群れを作る

エゾシカは雄に対し雌が数頭従うようなハーレムが群れの基本となります。群れの中で雄は優位を競い合い、勝利した雄がリーダーとなり生殖のチャンスを得ます。発情期は秋口で妊娠すると初夏のころに出産します。小鹿はとても小さいですが、急激に成長し半年もたつと生まれたときの10倍程度の体重になります。

若い雄シカ

画像中央にまだ短く細い角の若い雄シカがいる

画像では若い雄が形成している小さいハーレムの例です。雄ジカ一頭と雌が6頭確認できます。おそらく雌の数頭は妊娠しているものと思われます。この画像は釧路湿原で12月中旬に撮影しましたが、この時のシカは主にススキを食んでいました。

警戒心が強い

普段はおとなしく草を食んでいるエゾシカですが警戒心が強く、一定の距離以上に入ると群れのリーダーであるオスが威嚇を始める場合があります。警戒係のシカが居て常に周囲に気を配っています。場合によっては実力行使で危険を排除しようと突進してくる場合もあるので、注意が必要です。

こちらを警戒している

こちらを警戒し、雌が首を上げてじっと見ている

大きな雄シカに追突されたらケガで済まない可能性もあります。北海道旅行などでエゾシカを見る機会があった場合は不用意に近づかないように注意してください。またエサをあげる行為も農作物被害に繋がることになりますので避けてください

交通事故

特に冬になると山の中に食糧がすくなくなるので、エゾシカは里付近に降りてくることが多くなります。その為、道路を横断するシカと車が衝突する事故が毎年多数起きています。最悪な場合、人間を含めた死亡事故の例もあります。

エゾシカに限りませんがシカは一度走り出すと急には止まりません。また行動は群れのリーダーに従う形になりますので、車が来ていたとしてもリーダーや群れが道路を横断すると続けざまに数匹が横断してくる可能性があります。

筆者も小学生のころ父と阿寒にスキーをしに車で行く途上、エゾシカの急な飛び出しに遭遇しました。そのシカは立派な角を持った雄シカで車のボンネットをかすりつつもジャンプで飛び越えていきました。父のブレーキのタイミングも良かったのでしょうが、雄シカではなく雌シカであればジャンプ力も走る速度も無いため、フロントガラスに激突していた可能性があります。

また鉄道でも線路を横断したシカを轢いてしまう場合があります。さすがに汽車(北海道では通常、電化車両ではないため)の方が重たいため重大な事故に繋がることはありませんが、かわいそうなことにシカは絶命に至る場合が多いです。

食害

エゾシカは基本的に草食ですが、食べることのできる植物の範囲が広い特徴があります。穀物や葉類は当然のことながら笹や木の皮まで食べます。畑で育つ農作物はそのほとんどを食べることができます。北海道で作付の多いトウモロコシ、コムギなどは甚大な被害を被る場合があります。

現在では全道で50億円を超える被害額が報告され、道東地方の被害が深刻な状態となっています。柵などの設置や高圧電流線などの設置も進められていますが、降雪や凍結での故障破損、面積の広さなどコストが掛かることなどから対策は思うように進んでいません。

ススキや葦を食む

ススキや葦を食むエゾシカ

またエゾシカが木の皮を食べることで森林の立ち枯れ被害も報告されています。樹木は全周木の皮がなくなると土からの養分を枝に運ぶことが出来なくなり枯れてしまいます。若い樹などは根こそぎ食べてしまう場合もあり、樹木がへり森林が痩せる原因となっています。樹木が育たなくなるとその土地の保水力などが弱まり少しの雨でも崖崩れや地滑りや崩落が起きてしまいます。また裸地化が進み、希少な植物が絶滅に瀕する事態あることなどが深刻な問題となっています。

まとめ

北海道ではシカの被害も多く、共生が課題となっています。エゾシカは寒冷地に完全適応しているため生命力・繁殖力が強く、放っておくと際限なく増えてしまう可能性があります。現在では生協などでシカ肉の販売が試験的に行われるなど、食肉への転用も模索されています。命や自然の節理にかかわることなので、大変難しい問題ですが、官民問わず各機関がシカとの共生のために対策を練っています。