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2014年1月14日PM7時42分更新

あなたの腎臓は大丈夫?CKD病期ステージとは


CKD病期ステージ

CKD病期ステージとは慢性腎臓病の指標

腎臓病は細分化するとさまざまな病名が存在し、状態が非常にわかりにくいことから、医療関係者、患者ともに病状をしっかり把握出来るように設けられた指標がCKD(chronic kidney disease)病期ステージです。2002 年に米国腎臓財団(NKF)によって提唱されました。かつてはステージを設定する為にGFR値のみで評価されてきましたが、現在のCKD病期ステージは基本的に原疾患、尿たんぱく値、GFR値の3項目で評価されます。

原疾患とは

原疾患とは慢性腎臓病を引き起こす元になる疾患のことです。CKD病期ステージで特に注目される疾患・状態は以下です。

  • 糖尿病
  • 腎炎
  • 高血圧
  • 多発性嚢胞腎
  • 移植腎
  • 不明
  • その他

高血圧と糖尿病は生活習慣病であり、腎機能に多大な影響を与えることで知られています。腎臓病には血糖コントロール、血圧コントロールが不可欠なことから、血糖値、血圧もCKD病期ステージの重要な指標になります。特に糖尿病がある場合は血中アルブミン値がCKD病期ステージの指標の一つとなります。

ステージを決定する指標とはなっていませんが、脂質異常症のコントロール(LDLコレステロールのコントロール)や貧血のコントロールも腎機能保全に必要になるとされています。

GFR(glomerular filtration rate)糸球体濾過量とは

GFRとは糸球体濾過量のことを指します。健康診断の血液検査項目にあるので見たことがある人も多いかと思います。診察にはeGFR(推定糸球体濾過量)を用いる場合もあります。糸球体濾過量は腎機能の状態を見極める重要な検査項目です。

腎臓は主に体で不要になった物質をろ過して尿として排出する役目があります。腎臓では糸球体と呼ばれる器官で血液(血漿)を濾して、不要なものを捨て、必要なものを再吸収できるような仕組みを持っています。その為、糸球体で濾される特定の物質の量を調べることで腎臓の機能の状態を測り知ることが出来ます。具体的には血清クレアチニンという物質の濃度を測定します。

クレアチニンとは筋肉で使われたエネルギーの代謝物です。クレアチニンは不要物なので、通常は糸球体で濾されて尿として排出されます。もし糸球体になんらかの異常があったり、機能低下が起こっているとクレアチニンは尿として排出され難くなり、血中に残ってしまう量が多くなります。つまり、血中にクレアチニンが多く含まれる場合は、腎機能低下を起こしていると判断できるのです。CKD病期ステージではクレアチニン値域を5段階(日本の場合は6段階)に分類して指標としています。

尿たんぱくとは

尿たんぱくは尿検査によって測定される項目です。糸球体は通常、たんぱく質を通しません。電気的な性質を用いてたんぱく質を弾いています。糸球体の基底膜と呼ばれる箇所は負の電荷を持っています。たんぱく質も負の電荷を持っている為、まるで磁石の同じ極が反発するようになる理屈です。

しかし糸球体になんらかの異常があると、その機能が低下し、タンパク質を通してしまう場合があります。その為、尿にたんぱくが含まれることになります。また糸球体から濾された原尿を再処理する尿細管になんらかの異常がある場合でも尿にたんぱくが出てしまう場合があります。その為、尿たんぱくは腎臓の状態を知るうえで重要な指標となります。

病期ステージの段階と治療方針

病期ステージはGFR値を基準として、G1~G5に分けられています。日本においては日本人の現状に合わせて、G3がG3aとG3bに分かれています。また尿たんぱくと尿アルブミン値を基準としたA1~A3の区分があります。数字が増えることでより重症であることが表されています。現時点では16段階のステージがあります。

原疾患、尿たんぱく、GFRの状態の状態を組み合わせることで、細かい状況判断が出来るようなっており、また各ステージで必要になる治療方法も明確化されつつあります。こうしてステージを分けることでエビデンス(治療経験)の集積が容易になりフィードバック出来る為、CKD病期ステージは新しい指標ですが積極的に用いられています。

  • CKD病期ステージの段階
  • ステージ
  • 治療方針
  • G1 A2
  • G1 A3
  • 専門医と協力して治療(一般医>専門医)
  • 腎障害の原因精査
  • 腎障害を軽減させるための積極的治療
  • G2 A2
  • G2 A3
  • 専門医と協力して治療(一般医>専門医)
  • 腎障害の原因精査
  • 腎障害を軽減させるための積極的治療
  • G3a A1
  • G3a A2
  • G3a A3
  • 専門医と協力して治療(一般医>専門医)
  • 腎機能低下の原因精査
  • 腎機能低下を抑制するために集学的治療
  • G3b A1
  • G3b A2
  • G3b A3
  • 専門医と協力して治療(専門医>一般医)
  • 腎機能低下の原因精査
  • 腎機能低下を抑制するために集学的治療
  • G4 A1
  • G4 A2
  • G4 A3
  • 原則として専門医での治療
  • 腎機能低下の原因精査
  • 腎機能低下を抑制するために集学的治療
  • 透析などの腎代替療法の準備
  • 腎不全合併症の検査と治療(CVD 対策を含む)
  • G5 A1
  • G5 A2
  • G5 A3
  • 専門医による治療
  • 腎機能低下の原因精査
  • 腎機能低下を抑制するために集学的治療
  • 透析などの腎代替療法の準備
  • 腎不全合併症の検査と治療(CVD 対策を含む)

(日本腎臓学会編CKD診察ガイド2012より)

まとめ

筆者は現在G1A2となっています。一時期は糖尿病と高血圧があるためG2A3まで悪化しましたが、血圧コントロールと血糖コントロールが奏功しステージを戻ることができました。自分がどのような状態にあるかがよくわかるため、患者にとっても目標にしやすい指標であると言えます。

腎臓病が進むと、最終的には透析を受ける必要が出てきます。透析患者になると現代医療では不可逆、つまり腎機能は治らないので、自由な生活を送ることは不可能になります。そうならないためにも、健康診断の結果やCKD病期ステージに注目し、早めの治療を心がけてください。