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2013年12月21日PM5時01分更新

運動で汗をかいたら電解質補給が絶対に必要な理由


電解質補給

運動をすると水分補給とともに電解質補給が必要だと言われますが、体の中でどのような役目を果たしているのでしょうか?

電解質というのはナトリウム・カリウム・カルシウムなどを指します。体の中では体液内に溶け込んでイオンの形で存在しています。これらの電解質は濃度差や電位差を発生させ、体の中でさまざまな仕組みを作っています。

体液の濃度は生命維持に欠かせない

たとえばエネルギーになるグルコース(ブドウ糖)が細胞内に取り込まれる為には「ナトリウムイオン濃度」が重要になります。細胞内液にはナトリウムイオンが少ない状態になっていますが、細胞外液にはナトリウムイオンが細胞内の20倍程度溶け込んでいます。つまり細胞内と細胞外ではナトリウムイオンの濃度にかなり格差があります。このことを濃度勾配などと言います。

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濃度勾配は山の斜面を流れる川のように高いところから低いところへ向かおうとする性質があります。つまり細胞外から細胞内に対して浸透圧が掛かっているのです。この浸透圧を利用してグルコース(ブドウ糖)がナトリウムイオンと一緒に細胞内に取り込まれエネルギーとして使われます。

細胞内に取り込まれたナトリウムイオンは排出しなければなりませんが、細胞にはナトリウム・カリウムポンプというナトリウムイオンを排出する機能があります。これは細胞外にあるカリウムイオンと引き換えに、細胞内に取り込んだナトリウムイオン排出するポンプです。こうして常に浸透圧のバランスが保たれています。

発汗で電解質が失われたら

しかし、ナトリウムが足りなくなったらどうでしょうか?汗は水分とともにナトリウムなどの電解質も排出されます。汗をかき続けると体内のナトリウムが少なくなるのです。先ほど濃度勾配の力を使ったグルコース取り込みの仕組みについて説明をしましたが、それはあくまでもナトリウムイオンの細胞外液での濃度が高いこと(高ければいいというものではありません)が前提となってる機能です。

ナトリウムが排出されてしまえば、必然的にナトリウムイオン濃度はどんどん薄まり、濃度勾配も強い力を発揮できなくなり、ひいてはグルコースの取り込みが少なくなったり、支障をきたしてしまうことになるのです。

この他にもナトリウムイオン・カリウムイオン濃度のバランスは筋肉の収縮に関係するカルシウムイオン濃度にも密接に関わりがあります。カルシウムイオンは筋肉が収縮する際に必要になる電解質ですが、ナトリウムのように濃度勾配の仕組みが働いています。

その為、発汗で水分が失われたり電解質が失われると濃度が変化し、うまく機能しなくなる可能性があります。このようにしてエネルギー代謝や筋肉の収縮に影響が出てくるためにパフォーマンスが低下するということになるのです。

心筋の収縮にも影響あり

カルシウムイオンの濃度勾配は骨格筋だけではなく、心筋の収縮にも使われています。脱水症状でカリウムが不足すると心室細動が起きる可能性があります。長距離マラソンなどで突然死してしまう理由は脱水による電解質喪失が原因である場合があります。

電解質の補給の目安

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電解質を補う場合、濃度0.1%~0.2%程度の食塩水が目安とされています。食塩水の場合はナトリウム補給を主とします。これは発汗で一番失われやすい電解質がナトリウムだからですが、できればナトリウム以外の電解質も補給できればベストです。ナトリウムは塩から取れますが、カルシウムやカリウムを水に混ぜるには手間がかかりますし、何より味を調えないのであまり飲みたいものにならないかもしれません。

簡便に複数の電解質を補給できるのはスポーツドリンクです。しかしスポーツドリンクの多くは糖分を含んでいます。エネルギー補給も兼ねるなら便利ですが、ダイエット目的の運動では糖分の摂取を避けたい場合があります。その際はタブレットになった電解質サプリと水を組み合わせる、経口補水液を用いるのも手です。特に経口補水液は体液の電解質バランスに非常に似ており、なおかつ糖分の配合が抑えられています。余計なエネルギー補給をしたくない場合に最適です。

ただし経口補水液や電解質サプリは幾分コストが高くつく可能性があります。スポーツドリンクのように手軽に自動販売機で買えるものでもありません。その為、自分の目的やコストバランス、入手のしやすさなどを考えて補給に用いるといいでしょう。

水分や電解質の補給はこまめに行うのが良いとされています。水分や電解質の吸収には数十分から一時間程度時間がかかります。その為、のどの渇きを覚えてから一気に飲んでも実際に吸収されるのはそれからしばらく後になります。また一気に水分や電解質を摂ると濃度バランスを崩すことになりかねません。せっかくパフォーマンスを維持するための水分・電解質の補給なのに、逆に下げてしまいかねません。

そうならない為にも経口補水液やスポーツドリンクなら20~30分ごとに100mlから200ml補給するのが良いでしょう。電解質サプリの場合は用法や摂取タイミングが書かれていると思いますのでそれに従ってください。

まとめ

この記事では簡単に説明しましたが電解質の働きは他にもさまざまにあります。主に細胞内は電解質の働きなしでは語ることができない仕組みが多数あります。そのすべてを知っている必要はないですが、電解質を失うと運動のパフォーマンスが低下する理由は理解していただけたかと思います。水分補給とともに電解質の補給もしっかり行いましょう。